やまびこブログ~風の谷の徒然なる日々~

 法人の活動報告やイベント告知を中心に、スタッフが日々感じたことや自閉症の方の魅力、福祉の仕事の楽しさについて発信しています。

2017年11月

 昨日、11日は介護の日でした。2018年に厚労省が介護に関する意識啓発を広げるために制定、「いい月、いい日」からだそうです。

 その11日に行われた福祉まつりに来られた女性のお客様。自転車シミュレーターの順番待ちの間に商品を見に来て下さっていました。
 ニコニコされながら「私、いくつに見えます?」とのこと。私が「70才くらいですか?」と返すと、隣のブースの施設職員の方にも同じことを聞かれ、60才、と言われて嬉しそうにスキップするように跳ねられました。「元気なおばさんだなぁ」と思っていると驚愕の事実、「私、95歳です」とのこと。
思わずエ〜!!と大声を出してしまいました。

 その方は自転車でどこでも行かれ、お一人で暮らされており、全てご自分で行われているとのこと。お顔もツヤツヤされており、何か特別なことをされているか聞いてみると、毎朝、天気予報をチェックして気温の変化に応じた服装選びからスタート、毎日どこかへ出かけられており、好奇心が旺盛なので、どこでも行ってみたくなってしまう、とのことでした。

 天気予報のチェックから情報収集と分析、テレビ等で得た情報から行ってみたいと思う好奇心、意欲と行動力が若々しさにつながっているのだと思いました。
 "幸齢社会"との言い方があります。こういうことを言うんじゃないでしょうか。N

 今日の上溝ふくしまつりで思ったことです。
それほど大きなスペースを使っていなかったため、他団体の出し物に囲まれるような形で設置することになりました。
 ある程度、人の流れを想定しながら配置を決めていましたが実際の動きは予想と違い、商品の台を移動させていただきました。
 その後、人の流れができ、うまく私のブースから隣のブースへと人が動くことになり、互いに商品のアピールが出来るようにできたと思います。

 また、商品の配置もサイズのバランスの都合で始めに一番安い商品と施設紹介のボード、その隣に一番高額な商品という並びになっていました。おそらく、その額の差でどちらも売れず素通りされることが多くなっていました。

 そこで最初に一番大きい目立つマット、次に本日メインに考えていた編み物製品、そして一番安価な文房具系の商品、最後にコレが売れたら勝ち、と考えていた刺繍入りのバッグ(最終的に全て売れました)を設置しました。
そして中間に広報誌を入れ、前半だけ見て次の売り場へ行かれるのを手渡ししながら説明できるようにしたところ、お客の足が止まるようになり、人がいるのを見て他のお客も見に来るようになりました。

 今日一日、人の動きを見ながら様々配置を変えていましたが、そういった動きを考え、その都度対応策を講じるのは普段の支援の業務と同じだと思いました。
 利用者さんの反応を注意深く観察し、そこから相性の良い仕事内容や設置の仕方、その量や終わった後の活動の進め方を考え、実行し、失敗して変更することの繰り返しです。
 今日の場合は上手く行くと金額にそのまま反映されるので結果が分かりやすく、とても楽しく参加させていただけました。

 商売も相手は人である以上、その行動を観察しそこに合わせた対応をすることが利益につながっているのだろうと思います。
 福祉というと他業種と異なる特殊な分野だと思われがちですが、営業成績等、数字の厳しさはありますが、やってること自体は同じなのでしょうね。N

 たくさんのご来場ありがとうございました❗
年々盛大にお客さんも多くなっているのを感じました。
 また、相模原の田名にある施設というと長年そこでサービスを行っている別の施設の名前を言われることが多かったのですが、さすがにやまびこ工房も20年経つと"知ってますよ"、"私、自閉症の方と関わったことあるんですよ"等、のお話をいただくようになり、一度も間違われることはありませんでした^^;
 
 更に工房を利用されている方のご家族が来られ、このブログを楽しみにされている、とのお話があり、更に励みになりました

 そして向かいのスペースで私が20数年前にお世話になった自動車学校が自転車のシミュレーターを使った講習を行っていたのですが、私が大変お世話になった教官が来られていて声をかけて下さいました。そして、一番高い商品を2つともお買い上げいただき、売り上げも格段に伸ばしていただきました。

 泊まり明けの同僚や同じ期日で行われている自閉症児者作品展を担当しているスタッフも差し入れと共に来てくれました。

 今回、一袋20円のシールも販売していたこともあり、小学生のお客さんにもお小遣いで買っていただくことができましたので、今後も毎年参加させていただきながら更に地域の繋がりを拡げて参りたいと思います。

 ご来場ありがとうございましたm(_ _)m

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 最近読んだ本が面白かったので少し紹介します。良い会社、良い上司、良い部下とは?という内容。
著者が良い会社と言われる所へ取材に行き、社長や管理職、社員やパートの清掃員等にもインタビューを行ない、その内容から考察したものでした。
 私が面白いなと思ったのは、良い会社は社員を幸せにする、との意見。報酬の量や休暇の日数、与えられるチャンスの数など様々な基準が言われてきましたが、この表現は的を射ているのではないかと思いました。

 具体例としてアメリカのある会社で社長が病気で入院し、退院することが決まった時、薬の副作用で髪が抜けた社長を励まそうと社員が提案、女性を含めたたくさんの社員がボウズになって出迎えた、とのエピソード、社長は感涙にむせびながら挨拶に立ち、社員は大拍手で迎えたとのことです。

 先に仕事に人との繋がりを取り入れること、という話を紹介しましたが、この会社では特にその繋がりが強いものになっていたのでしょう。
 人の幸福感は人との繫がりなしには得られない、との著者の結論を証拠づけるエピソードかもしれません。
 そしてその幸せな会社にする主体者は経営者でも役員でもなく一社員であることが強調されています。何の組織でもそれを創る主体者の自覚をもつことで何倍も幸せなアイディアや行動が生まれてくるのではないでしょうか。

 新たに就職をされる方は早いうちに思ってたのと違う!にぶつかることでしょう。でもそれも含めて自分の成長やより良い仕事のアイディアにしていけるのもちょっとした捉え方次第なのだと思います。N

 ちなみに本はコレです↓↓↓↓↓
https://www.amazon.co.jp/%E4%BB%95%E4%BA%8B%E3%81%AF%E6%A5%BD%E3%81%97%E3%81%84%E3%81%8B%E3%81%AD-%E3%83%87%E3%82%A4%E3%83%AB-%E3%83%89%E3%83%BC%E3%83%86%E3%83%B3/dp/4877710787

 あるアメリカ人の知り合いがフェイスブックページにてスーパーで買い物中、息子が突然女の子から腕をつねられてしまった。
 支援者らしき人に謝罪され、その女声が自閉症であることを聞いたがワケが分からない、
と綴っていました。
 コメント欄にはかなり攻撃的な文面もあり、個人主義の国らしさが感じられました。

 私たちも、また、ご家族はもっと多々経験されていることではないかと思います。こういった場合、ともかく謝罪すること、その上で可能であれば自閉症のこと、どういった理由でそのような行動が出てしまったのかを説明しますが、日本の場合は比較的話を聞いていただけることが多いように思います。また障がい者であることが分かると関わりたがらなくなるという傾向もありますが、風の谷の主要サービスであるガイドヘルプはそういった場面に出くわすことが一番多い現場です。

 起きてしまったら謝るほかありませんが、そうならないプランを立て、不安な状況が生まれた時にそれを軽減できるような付き添い方をするのがヘルパーの仕事ということになります。
 それは利用者さんによって違ってくるのは当然ですが予め行った情報収集から、もしもの時はこの方法で落ち着いていただいて下さい、との依頼をヘルパーにしても想定通りにいかないことがあります。事件は現場で起きてるんだ、との決め台詞がありました。その通りで、行った先での人通りの多さ、周りの音の大きさやその質、当日の天候、そしてご本人の体調等、様々な要素が絡んできます。
 その上で最終的に決め手になると私が考えているのはそのヘルパーと利用者さんとの関係性です。信頼関係と言っても良いかもしれません。
 私たちは日々の支援の中で出来るだけ分かりやすい接し方を心がけています。そしてそれを場面ごとで一定のものにするようにしています。そのことで利用者さんはスタッフの反応を予測できるようになり、見通しが立つ状況を作ることができます。何より見通しが立つということが安心感につながり、それが信頼になると考えています。N



 なお、上記のページのコメント欄に英語で自閉症のことると想定されるその女性の状況を説明するのにとても苦労しました。

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