やまびこブログ~風の谷の徒然なる日々~

 法人の活動報告やイベント告知を中心に、スタッフが日々感じたことや自閉症の方の魅力、福祉の仕事の楽しさについて発信しています。

2018年01月

 ある新聞記事より、現代の若者がサトリ世代と呼ばれていることなどを取り上げていました。
 この背景にはインターネットの普及後のスマートホンの普及が大きな役割を果たしています。個人が手にしたスマホからあらゆる情報に触れることができるようになった事で人は誰かに相談することがなくなりました。しかし、人に相談することで得られるものは検索で得る情報に比べて、その質、量共に非常に多くなり脳への影響も大きいそうです。

 その記事で警鐘を鳴らされていたのはネットで調べることで分かった、知ってるとの感覚を持ってしまうこと。物事の表面しか見なくなっている、とのことでした。

 私たちも日頃から利用者さんの目先の行動や反応にとらわれる事無く、その奥にあるご本人の特性や訴えを汲み取れるよう注意深く見ています。
それはよく氷山に喩えられていて海上に見える先端が目に見える行動、その下には当事者の思いや、特性、これまでの経験等、大きな塊が存在しています。

 これは障害福祉に限らず、私たちの日常にも言えることではないでしょうか?
あの人は〜だから、この人にはムリじゃないか、一時的、表面的な評価で留まることのない人間関係を作り続けたいものです。N

 先日のあるスタッフとの話。
 仕事の合間の時間、休憩時間の過ごし方に取り組んできた利用者さんがいらっしゃいました。その担当のスタッフがいくつもの休憩課題を試しては関心を示されず、ボツをもらい続けていたのですが、ついにハマるものを発見、ケースに入ったビーズをかき混ぜながら休憩スペースでニコニコされている姿が見られるようになりました。

これまでの行動観察からビーズ等、細かいものをかき混ぜる感覚がお好きなようだったので、素材、大きさ、数、入れるケースの大きさ、色、素材など感触やかき混ぜた時の音、手に伝わる振動の違いなどが違うものを試行し続けて、やっと1つ辿り着くことができました。
 そのスタッフの言っていたことが、探り続けること、試行錯誤をやり続けることで観察する姿勢が出来る、と。やらないと感覚が鈍くなり、利用者さんのサインに気づけなくなる、とのことでした。

 私もとても共感しました。
 すぐに結果が出せることは、多くありませんが失敗をすることで、利用者さんから教えていただけることは多く、その積み重ねが私たちを鍛えてくれるのではないかと思います。
そして、試行を繰り返さなければ成功はなく、何もしなければ失敗はありませんが、絶対に成功も成長もないのだと思います。N

 国際的なソーシャルビジネスを展開している日本人が大失敗をしてプロジェクトの中止を余儀なくされた時、学生時代の恩師に言われた言葉です。

『自己批判なんて安易なごまかしか、暇人がするものであって、前進している人には自己批判も言い訳もないのです。
ただ前に進む。僕に言い訳はない
の精神でがんばってください。』

そして、
教育とは、
子どもたちに自分の可能性を感じられる環境をつくり出すこと。
とありました。

 どんな仕事にも同じことが言えるのではないかと思ったのと、後者の『教育』を『療育』や『支援』と言い換えても同じことが言えるかもしれないと思いました。
 風の谷の利用者さんが希望をもち、その可能性にワクワクできる暮らしの実現のために知恵を絞り、行動していきたいと思います。N

 年が明けて、しばらく過ぎ、すっかりペースを取り戻された様子の利用者さんに食事の選択をしていただくことを始めています。
 朝食のみですが、和風と洋風で選んでいただくためにこれまて調理担当が夕食と一緒に作っておき、朝、レンジやフライパンで温め直して出していた朝食を、焼き魚とごはん、ハムエッグとトースト、といった具合に2パターン準備しておき、それぞれの方の希望に合わせてスタッフが朝、調理をする形を取っています。
 今のところ、圧倒的に洋風の希望が多いですが、皆さん塩鯖を希望される日もあり、こちらも楽しみになっています。
 おかずもそうですが、それ以上に朝、炊くようにしたことで皆さん完食されることが格段に増えています。
 より楽しんでいただけるように更に工夫をして参りたいと思います。

 13日は全体会議の日で第一工房に全常勤スタッフが集まり、様々な話し合いをもちました。
 その中で今年、7月に迎えるやまびこ工房の20周年記念事業についての検討もあり、記念誌の作成なども打ち合わせを行っています。
 工房は20年ですが当然、風の谷が法人認可を受けるまでにそのための準備を行って下さった方々がいらっしゃり、記念誌にはそういった歴史を振り返りつつ、今後の展望をお伝えする内容にしたいと考えてます。
 
 風の谷は親の会の運動が発端になり、現在の活動に至っています。それは30年ほど前からの運動であり、当時、活動されていたご家族は今でも私たちの活動を支えて下さっています。
 たくさんの方の努力、苦労があって今の展開があることを忘れないことは当然ですが、その方々に受けたご恩を次の世代のスタッフや今、そしてこれから利用される皆さんの支援の充実という形でお返しすることが一番必要なのだと思います。
 立ち上げから奮闘してくださった方々に安心して後の事を任せていただけるよう前進すると共にこれまでの歴史を継承し、発展させていく人材輩出のための毎日でありたいと思いました。N

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