やまびこブログ~風の谷の徒然なる日々~

 法人の活動報告やイベント告知を中心に、スタッフが日々感じたことや自閉症の方の魅力、福祉の仕事の楽しさについて発信しています。

2018年08月

 お盆時期、ご家族で外出の予定を組まれる方も多く、ナウシカでも数日、利用されない方がいらっしゃいます。
 普段、近くで過ごされても互いに干渉されることは、ほとんどなく、むしろ無関心といった様子が見られる皆さんですが、この時期は、そんなことないんだなぁ、と再確認することがあります。
 更に変化の受け入れと対応が得意でない皆さんの特性は忘れてはいけないな、と思います。

 先日、週の後半続けて不在になっていた方がいらっしゃいましたが、特別、確認があるわけではなく、居室を見に行かれるわけでもありませんが、ある利用者さんは神経質な表情が時々見られ、暑さから疲れがでているのではないか、と考えていました。
 お一人続けて不在となり、数日たった夜のこと。硬い表情で普段行かれている買い物の行き先、買うもの、ナウシカに帰ってからのスケジュールを細かく確認される方がいらっしゃいました。それまで表立って気にされる素振りは見られませんでしたが、やはり変化を好まれない自閉症の方には変わりなく、私は普段通りの暮らしの中で、意識が薄れていたのを反省しました。

 そもそも表立って気にされる素振り、と書きましたが、それこそご自身で普段通りではない、できれば避けたい行動を取るということですし、そういった方が夜、気になっていることを口にされたということは、おそらく、もう我慢ならん!ということだったのではないかと思います。
 日常生活を共にされる中で直接的なやり取りはなくとも、ひとつ屋根の下、同じ釜のご飯を召し上がっている皆さんが無関係なわけがありません。無関心ていられるわけがないのだ、と再認識させていただきました。

 私たちは表面化した言動から(目線、表情の変化も含めて)その方の考えや感覚を想像して、適した環境づくりを心がけていますが、同時に表面化したものだけでなく、自閉症の特性は厳然とあるのだ、という大前提を落としてはいけないよ、とのアドバイスだと思いました。N

 やまびこ工房の敷地内にブルーベリーの木があり、今年も実ができています。
 今年は、その袂に草が植えられています。ミントです。現在、やまびこ工房の製品の一つとしてミントを使ったポプリを作っています。その材料として栽培を始めました。
 ブルーベリーの収穫と共にミントの世話、摘み取りも利用者さんの活動に加わっています。N
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 ある人が教養ある人とは?ということを書いていました。
 様々なジャンルの本を読み、知識が豊富で〜って何ですか?との質問に答えられる人
ではなく、
 あらゆる物事に対して自身の考え方をもとにそれに対する解釈や意見が出せる人
とのことでした。
 そしてそのためには、情報に触れ、知識とするだけではなく、それに対して自分の考えを導き出すことが必要と。

 私たちの支援も、利用者さんのちょっとした行動に対して解釈を加えた上でそれをどう活かせる形にするか、という得た情報の意味を考え、それに応じた支援方法を実施する、当たれば発展させ、うまく行かなければ、それを利用者さんの新たな情報として活かせる形を考えるという繰り返しです。

 そこで大事だと思うのは広い視野をもつことと前向きに捉え直す知恵だと考えています。
 全ての支援は観察から得た自閉症の方の特性を解釈することから始まりますので、支援者の行動の見方によってその出発点が大きく変わることになります。

 その意味では利用者さんのちょっとした変化、仕草に深い関心をもち、今の行動の意味は?と日々魅力の尽きない方と接する機会を持てていることは、教養が鍛えられる現場と言えるのかもしれません。N

 医療事故の原因について書かれたものを読む機会がありました。
 医療に限らず、あらゆる分野において分業化が進み、効率的なシステムがつくられている世の中ですが、その分、システムの中で個人が埋没しているのも事実なのではないでしょうか。 

 そこで取り上げられていた医療の事故はレントゲン検査結果から肺がんを見落とし、“異状なし”との診断を出すことになったこと、「専門化と特殊訓練化、現代の一般的傾向である。至る所で水平化が生じ、その過程で人間は機械装置の一部となる。判断する力、豊かな洞察力、個人的な自発性は麻痺させられる」と。

 業務のシステム化は人が代わっても仕事が円滑に動いていくために必要なことです。同時にそれに携わる個々の違い、「この人ならこの役割をこう行える」「私はこの部署でこの役割を果たしたい」との考えが重要なのだと思います。

 福祉の現場は人材不足が常に言われています。しかしその分、個人の存在や役割が埋没することなく、目的感、当事者意識を保ちながら働ける場所でもあると思います。
 何より、常に興味深い課題を提示で利用者さんが、それを維持してくださっています。N

 台風12号が大雨を振らせながら関東へ接近中です。いくつかのガイドヘルプの予定もキャンセルとなっていますが、日中活動も含め、無事故の運営を行ってまいりたいと思います。
 先の西日本豪雨災害で被災された方は未だ不自由な生活をされている方もいらっしゃいます。酷暑と今回の台風が更に被害を拡大することがないよう願いたいと思います。先の豪雨災害の時、避難指示が出たにも関わらず行動に移さなかった方が多かったとの調査結果が新聞で報告されていました。
 調査によると8割が"自宅は大丈夫だと思った"との回答。
 呼びかけだけでなく、避難意識を高める情報提供の工夫が必要、との提言が行われています。

 さて、現在、風の谷ではヒヤリハットの取り組みに力を入れており、昨年までなかなか報告件数が上がらなかったものが今月だけで、その合計を上回る件数となっています。
 この取り組みを通して、積極的に報告をあげ、全体化することがより良い支援につながることを意識づけできるよう継続したいと考えています。
 "危なかった"と思う場面を発生させたとの罪悪感が報告を妨げる面も考えられますが、趣旨を個々のスタッフに説明し、理解を進めることで本来の意味理解につながったのだと思います。

 この取り組みも一人ひとりのスタッフが自分の報告が法人の活動を助け、より充実した支援を創り出すとの当事者意識をもつことに繋がっていくのではないでしょうか。

 ヒヤリハットは"自分は大丈夫だろう"の対極の意識をもつことで実践できるものだと思います。今後の防災意識にも一役買っていくのではないかと考えています。N

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