最近あった日常の一コマから。
 ある利用者さんが急に駆け出し作業室の出口へ。廊下へ向かって『◯◯ない!!』と大声をあげる場面がありました。
 廊下を確認すると誰も通った気配はありませんでした。

 「あ、しまった💦」

 直前に他の方の話でしたが外出の付き添いのスタッフ配置の相談を職員同士でしていました。
 元々その方は出かける予定や人の動きに敏感です。また、同時に廊下や階段を通る人をどうも足音で判別でき、気になる人が通った時には前述のように駆け出して声をかけに行かれることが日常的にあります。

 始め、廊下へ走られたので誰か気になる人が通ったのだとおもいましたが、誰もいなかったことから、この時は、他の人の付き添いの話から、ご自身の以前使われていた施設名を出して、その予定はない、と主張されていました。

 人の声に敏感な方は多いです。特に職員同士の話は気にされる方が多く、耳をダンボに、と言われる状態で注意深く聴かれていることがあります。配慮が足りなかったな、と反省しました。

 また、改めて意識に留めておこうと思ったのは、その場面で話をしていた職員には声をかけず、素通りして廊下へ向かって声を上げられたということです。
 皆さんその傾向がありますが、本当に気にされている事についてはなかなか表出されません。
 ショック、不安、混乱、様々考えられますが、急に入ってきた予想外の情報に対して処理、整理が完了するのに時間が必要なのではないかと推測しています。そのため、突然入った不安になる情報へのストレス反応として別の場面での行動が当てはめられていることが考えられます。

 自閉症の方は、本心を簡単には明かさない、昔ながらの侍のような性質を持っているのかもしれません。日常の支援の場面でもその場の表出だけでなく、背景やその方の特性を総合的に見て、本当の声を聴き取れるように心がけたいと思いました。