やまびこブログ~風の谷の徒然なる日々~

 法人の活動報告やイベント告知を中心に、スタッフが日々感じたことや自閉症の方の魅力、福祉の仕事の楽しさについて発信しています。

2019年03月

 やまびこ工房には様々な状況の方が通ってこられています。個々のペースに合わせた活動内容と同様、出勤時間や退勤時間も人によって様々です。
 現時点では、通う事そのものが目標になっている方もいらっしゃいます。そういった方の場合、これなら通ってもいいかな・・・と思ってもらえるようにすることが第一歩ということになります。
 その取り組みの中で先日、私たちにとっては感動的とも言える嬉しい場面を見せていただきました。

 その方は退勤時には既に帰宅後のスケジュールが頭にある様子でスタッフがご家族に挨拶するのも嫌がられていました。玄関に付いていくとシッシッと追い払うように手を振り走って出て行かれるのが日常でしたが、その日は、ご家族に会うとすぐに『体鍛えたよ』と笑顔で言われ、やまびこ工房での活動の余韻がある様子で帰っていかれました。
もちろん、一緒にいたスタッフが追い払われることもなく。
 
 こういった少しの変化が私たちには大きな励みであり、やりがいにもなっていると思います。
普段、付き添うことが多いスタッフ同士で"ヤバい!泣きそうだったよ😂"と喜びあったのでした。

 この仕事は結果が見えにくく、目標に向かって進んでいるのかどうか不安との格闘の繰り返しです。その繰り返しの中で報われたと思える瞬間の1つがこういった場面なのです。

 先日KYにならないようにしたいとの記事を書かせていただきましたが、今回は、違いが分かる男になれたらいいな~という話です。
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 予定の提示を目に見える形で行い、その活動が完了するごとにマグネットをつけて残りの予定の確認をしている方がいらっしゃいます。今回また謎が深まった出来事がありましたのでご報告いたします。    完了を確認するマグネットをスケジュールカードを外した後に付けるようにしていただいているのですが、同じ色でも”違う”と言われることが度々ありました。    これはヒビの入り具合に違いない、と思い、"分かってますよ、これですよね"と自信を持って出したものがNG。最終的にご自分で取られていました。  節穴同然の私の目では違いを把握することができず、分かっている気になっていた自分を恥じたエピソードでした。  結局、未だにポイントがつかめていません。この分からなさに強く惹きつけられてしまいます。  違いの分かる男を目指して精進したいと思います。

 自閉症の方は聴覚過敏で音声刺激が苦手。従ってイヤーマフや静かな空間の確保、視覚的に訴えるコミュニケーション方法が望ましい。
 といったことを本で読んだり、教わったりしたことがあります。

 でも、最近思うのは、多数派の人たちより聴く力に優れていることは障害というより強みなんだということです。
 
 グループホーム勤務では特に密接な関係性が生まれやすい環境になりますが、その分、声のトーン、話す速さ、内容等に応じた理解をもとに反応を決められているのではないかと思う場面に出会うことがありました。

 季節の変わり目で風邪をひかれたり、花粉症に悩む方がナウシカにもいらっしゃいますが、その訴えの内容の時には話が終わるのを待たれているのに通常のパターン化されたやりとりの時には割って入られ、お茶の用意や余暇時間の準備を催促されることが今週はありました。

 抽象的な概念の理解が得意ではない特徴をもつ自閉症の方だからこそ、これまで懸命に空気を読む苦労をされてきているのだと思います。それが風の谷のような大人の施設を利用される頃には、むしろ空気を読む達人になっているということのようです。
 私もできるだけKYにならなよう気をつけたいと思います。

 1か月以上、足場に囲まれ、ベールに包まれていた、やまびこ工房ですが、ついに完了が近づいてきました。久しぶりに外壁が姿を見せ、塗装面がピカピカに光っています。 
 さすがに利用者さんにとっては、年度末の様々な変化が多い時期であり、これまでの経験から刺激に過敏になる方、花粉症で体調面から不安、過敏な状態になる方が多く、重ねての大規模工事で私たちも文字通り固唾をのんで見守ることとなりました。中には予想をくつがえす対応をされる方もあり、ひたすら日常の行動を繰り返しながら、耐え忍ぶ方、新たな状況に応じた新たな行動パターンを作り上げる方もいらっしゃり、私たちにとってもより利用者さんのことを知る機会となりました。
 今回のような大規模工事はなかなかあるものではありませんが、皆さんの対応の仕方は今後も大いに役立つ重要な情報になると思います。これをどう活かすかは支援者にかかっていると言えるでしょう。
 まずは一息、ホッとしていただきたいと思います。N
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 東日本大震災から8年。もうそんなに経つのかというのが最初の印象。ここ数日、様々なメディアで紹介される現地の方の声を知ると、終わってない、との思いを強く持ちました。
 
 あるインタビュー記事では7年目を迎えた時に初めて人に亡くなったご家族のことを話すことができた、と。
 当事者にとっては、きっと過去の出来事になる日は来ないのだろうと思いました。

 大きな被害を受けた場所を被災地と呼ぶ私たちが出来ることはボランティア、寄附等、様々あるとは思いますが、忘れないことだったり、防災意識を強めることであったり、考え続けることが一番つながりを保つことなのではないかと思います。

 別の記事で「悩める人とは決して弱者ではない。生きることに真剣な人である。」と。
 その人の現状をまず受け止めること。根本に置くべきは他者に対する敬意なのだと思いました。

 色々な節目、変化が重なる時期で心身に不調をきたす人が多くなる季節でもあります。
 人それぞれに違った困難さがあり、それを知る努力をしながら寄り添っていける支援者でありたいと思います。N

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